髭男爵の山田ルイ53世さんの著書「ヒキコモリ漂流記」を読んだレビュー・感想です。
この本はこんな方にオススメ。
- 引きこもりたい心境の方
- 引きこもり中の方そしてその心境を知りたいご家族
- ちょっと笑える軽めなエッセイを読みたい方
ユーモラスに引きこもり生活にいたる経緯とその詳しい様子が赤裸々に描かれており、
笑えて元気になれる本です。
ヒキコモリ漂流記を読んだきっかけ
日経新聞での夕刊コラムが面白く興味を持ちました。
一発屋芸人の悲哀を漂わせながらも、文章にセンスがあり笑えるんです。
一発屋、一発屋とおっしゃいますがぶっちゃけ、
って人が結構いると思うんですよね。
私も40過ぎて「あぁ、自分は何者にもなれない平凡な人生だった」と思うことがあり凹んだ時に、手に取りました。
「ヒキコモリ漂流記」を読んだ感想
山田ルイ53世さんの親は変わっている
著者の山田ルイ53世さんはご両親のことは決して悪く言わず、ユーモラスにその様子を描いています。
でもはっきり言ってかなり変わっているご両親。笑
- どんなにエロ本を隠しても子どもの部屋を物色しまくり、机の上にきっちりエロ本を並べておく父
- 厳しい教育方針でテレビもビデオもない家だったのが、AV見たさにテレビと周辺機器を一気に買いそろえる父
- キャッチボールをしまくってたのに、野球を始めたいと言うと反対する両親
↓そしてその理由
野球は用具が多くて、お金が掛かるし、休みの度に親が駆り出され、色々邪魔くさいというのがその理由だった。
ヒキコモリ漂流記 完全版 (角川文庫)
からの引用
- 一人暮らしの引きこもり中に愛人の肉じゃがを差し入れする父
それを母の味だと勘違いし以前よりおいしくなったと思って食べる著者!
要するに父がスパルタで兄はヤンキー、ねちねち嫌味を言う母に育てられてます。
子どもが引きこもった時の対処法↓
大人になって思うが、明らかに両親はそういう事態への対処法が下手だった。魚がジッとして動かない水槽をバンバン叩くタイプだった。
ヒキコモリ漂流記 完全版 (角川文庫)
からの引用
多分、ご両親とも全く悪気はないのですが幼い印象。
子どものことを考えてません。
子どもが隠しておいているエロ本を探し出して並べる意味はあるのでしょうか?!
仮面をかぶらないと生きていけない環境だった?
それに比べてとっても大人な山田ルイ53世さん!
そのような環境下で育っているだけに、
著者山田ルイ53世さんは「完璧な良い子の仮面」をかぶって、優秀な良い子になりきります。
そんな自分を俯瞰(ふかん)する小学生の著者。
「高いところから見下ろすこと」です。
ご本人が何度もご自身のことを子どもの頃から「いやらしい性格」とおっしゃいますが、
いやらしい性格にならないと生きていけなかったのでしょう。
お父さまもお母さまも多分、自分のことに精一杯で子どもまで気が回らない感じ。
スパルタ教育や価値観・世間体を好き放題に押し付けまくり。
親に虐待を受けた子は多重人格者となり、その厳しい環境下を乗り切るのはよくあるお話です。
この両親は虐待はしていないのですが、子どもの気持ちは基本無視。
山田ルイ53世さんの場合は、そんなご両親に対し「こうすれば親も喜ぶんでしょ?」と仮面をかぶりまくりです。
小学校2年生の時、国語の宿題で書いた「詩」が、地元新聞に取り上げられた。
(中略)
「どのようなテーマが大人ウケするのだろう?」「どんなワードを使えば小学生っぽく見えるだろう?」(中略)
「駄目だ駄目だ・・・・大人達は少し足りない感じを好むはずだ・・・言い過ぎちゃ駄目だ!」「もっと、子どもらしい舌っ足らずな感じを出すんだ!」
そんな、およそ子供らしからぬいやらしい計算の下に出来上がった詩が新聞に載った。
ヒキコモリ漂流記 完全版 (角川文庫)
からの引用
新聞掲載を意識し、全力で獲りに行く小2。
こんなこと2年生で出来るなんてすごくないですか?
山田ルイ53世さんは子どもの頃から明らかに親より優秀
平仮名を意図的に多用した詩である。当時、著者は大人向けの本も大量に読んでいたので、小学二年生にして「薔薇」も「醤油」も漢字で書くことができた。
ヒキコモリ漂流記 完全版 (角川文庫)
からの引用
新聞に掲載された詩は、ご本人いわく「ひらがなを意図的に多用したいやらしい詩」です。
気になる方は本をチェックしてみて下さい。
ご本人が6年になってから中学受験をしたいと伝えたところ、
金額が安いと言うだけでビミョーな塾に連れて行かれます。
あっという間に塾の先生より勉強が出来るようになる山田ルイ53世さん。
先生が出来ないために「先生が分かるの待ち」をし、
先生に恥をかかせないようにめちゃくちゃ気を遣う小学生の著者。
そんなビミョーな塾でさえも、
短期間の受験勉強で兵庫県で有名な「六甲学院六甲中学校」に見事合格。
その後引きこもり期間を経て、猛勉強し一発で大検合格、そのままセンター試験の勉強へ突入し、国立の愛媛大学の法学部に受かってしまう。
中一の時の三者面談で「このまま行けば東大」と先生に言われてるのですが、元々とっても頭が良い子だったのがよく分かります。
実際の引きこもり生活の様子や本人の気持ちが分かる
- 引きこもりの人はなぜ夜活動しやすいのか?
- どんな気持ちなのか?
- 普段なにをしているのか?
など、本には詳しくユーモラスに描かれています。
引きこもりをされている親・本人は読んでおいて損はない内容です。
引きこもりをされている親としては本人の気持ちが分かり、著者の親は悪い例として反面教師にもなります。
引きこもりしている本人は共感でき、自分の状況を俯瞰(ふかん)出来ますよ。
これらの出来事がユーモアたっぷりに描かれてます。
例をあげると「下着姿で屋根に寝そべるのはやめましょう」という回覧板史上初の注意書きが回ってくるのはウケました。
人生に意味なんてなくて良い・無駄があっても良い
引きこもり関連のインタビューには、お決まりのパターンがあり
「でも、その6年間があったから、今の山田さんがあるんですよね?」と必ずインタビューでは聞かれるそう。
それに対し、著者の山田ルイ53世さんは、
世間の大部分にとって、人生に”無駄”があってはまずいらしい。
そんな”無駄を許せない空気感”こそが、人々を追い詰めているのではないのだろうか。
大体、皆が、キラキラした人生を送れるわけではないし、そんな必要も義務もない。
無駄や失敗にまみれた日々を過ごす人間も少なくない。
そんな人間が、ただ生きていても、責められることがない社会・・・それこそが正常だと僕は思うのだ。
ヒキコモリ漂流記 完全版 (角川文庫)
からの引用
これすごく共感です!
なんか全ての出来事に意味を持たせたり、頑張り過ぎてる人が多いと思うんです。
本当は無駄なことに意味を持たせる必要もなくて、多分なにも成し遂げずに人生を終える人も実際にはたくさんいて。
もっと好き勝手に、全く何も成し遂げない人生であっても肯定出来る、
多様な価値観があっても良いと改めて感じました。
私の大好きなモラハラカウンセラーのジョーさんはラクに生きる方法を書いているので実践的な方法を知りたい方はこちらの記事もオススメです。
>>>【本の紹介】軽んじられる・いじめられがちな人にオススメの本
まとめ:人生に意味なんてなくて良い・好きに生きよう
この本の最後のくだりがとても好きです。
ここに引用するのははばかられるので機会があれば手に取ってみて下さい。
頑張り過ぎて苦しくなっている方や引きこもり中の方、引きこもられている家族の方。
引きこもり中とその家族だとツラいですが、
ゆるく生きて良いんだとホッコリしつつ笑える本です。
髭男爵のお二人のワインがこぼれないようにするためなのか、
ワインの量が少なすぎるのと、
ヒグチ君が良くネタをとばし(忘れ)しっかりものの山田ルイ53世さんがフォローするのが好きです。
おわりです。
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